MY CART

目黒駅から徒歩10分の閑静な住宅街にあるビストロ〈BEARD(ビアード)〉は、生産者から直接仕入れた旬の食材を活かす料理で定評のあるレストラン。オーナーシェフの原川慎一郎さんが大切にしているのは「人が集い、共有し、楽しみ、そして繋がっていく空間」。こじんまりとした12席の店内には、いつも料理と会話を愉しむ人々が集まっていて、「The Monocle Restaurant Awards2015」のベスト1にも選ばれた名店です。

アメリカ西海岸のシューズブランド〈OTZ SHOES〉とともに、自分らしいライフスタイルを追求する人々にお話を伺う連載「WHOE’S WEAR OTZ SHOES〜ライフスタイルを楽しむ人々」、第6回目は原川慎一郎さんの登場です。

001018280022

原川慎一郎|BEARD店主

渋谷〈Concombre〉、フランス〈La Madeleine〉、奥沢〈La butte boisée〉、三軒茶屋〈uguisu〉などのレストランで経験を積み、2012年に目黒に〈BEARD〉をオープン。また、〈restaurant eatrip〉の野村友里さん、〈Cignale ENOTECA〉の東森俊二さんらとともに、さまざまな土地を訪れ、地域の風土や文化を活かした食イベントを行う「Nomadic Kitchen」にも参画。

サラリーマンを経て料理の世界へ。
人が集まる場所に興味を持った。

〈BEARD〉のオーナーシェフ原川さんの仕事は昼過ぎの仕込みから始まります。店内に入ると、レンガの壁、ウッドのテーブル、植物が置かれたカウンターなど、海外の家に招かれたようなアットホームな雰囲気。ブルックリンからインスピレーションを得て作ったという店内で、原川さんは襟つきのシャツにエプロンを付けてオープン準備を始めました。

原川慎一郎(以下、原川):いまでこそレストランをやっていますが、もともとはサラリーマンでした。京都で旅行会社や翻訳の仕事をした後に、東京のTV制作会社に転職して上京。国内番組の版権を海外に販売したり、海外番組を買い付けする仕事をしていました。デスクワークが中心だったんですけど、それが苦手で。お昼ご飯を食べるとすぐに眠くなっちゃうんですよね(笑)。それでこれは無理だなって(笑)。その頃、仕事が終わるとよくひとりでビストロに行っていたんです。海外生活が長かったので当時はまだ東京に友人も少なくて。原宿の〈Aux Bacchanales(オーバカナル)〉閉店後に枝分かれしてできたお店〈Pot Bouille(ポ・ブイユ)〉や〈 Lauburu(ローブリュー)、ナチュラルワインを提供する〈Le Cabaret(ル・キャバレ)〉などによく行っていました。それで、ビストロって面白いなと思ったのが飲食店に興味を持ったきっかけです。レストランには職種に関係なく、いろんな人が集まるじゃないですか。そういう文化が面白いと思ったんですよね。

メニューはその日の食材から考える。
目指すのは居心地のいい空間。

その後、原川さんは一念発起して飲食の道へ。渋谷のビストロ〈Concombre(コンコンブル)〉で働いた後にフランス修行を経験し、奥沢〈La butte boisée(ラ・ビュット・ボワゼ)〉、三軒茶屋〈uguisu(ウグイス)〉を経て独立を果たしました。飲食の世界に入る前から料理は得意だったのでしょうか?

原川:食べるのはもともと好きでしたけど、料理をするといっても家でカレーを作るぐらいでした。いろんな店で経験を積んで、〈uguisu〉で料理を作って2年ぐらい経ってからですかね、自分で考えた料理を出しても大丈夫かなと思えるようになったのは。ただ本音を言うと、僕は料理を作りたいというよりも、みんなが料理を食べている「場」が好きなんです。だから、もし美味しい料理を作ってくれる人がいたら、その人に作ってもらえばいいと思っているぐらいです。外ですごくおいしい料理を食べようと思ったら、星つきレストランの類になりますよね。そこには料理が主役のシェフのプレゼンテーションがあって、お客さんもそれを100%体験しに行くというか。それもいいんだけど、「食べる」ってもうちょっとカジュアルでいいんじゃいいかなと思うんです。もちろん料理は重要だけど、音楽や照明、空調やサービスなど、いろんなものが集まって居心地のいい空間ができあがる。そのバランスを大事にしたいんですよね。

〈BEARD〉のメニューは、その日届いた食材を見てから決めているそうです。それは、旬の食材を見て、それを活かしたメニューを作りたいという原川さんのスタイル。

原川:料理には作り手のエゴというか、想いが入りやすいんですよね。ある料理を作ろうと決めたら、そのために食材を探すことになります。それがベストではないというか、そのとき旬の食材を扱える方がおいしい料理が作れるんじゃないかなと。レシピありきで考えるのではなく、旬の食材を使ってメニューを構成した方がいい料理が提供できると思うんです。それで、農家や魚屋から、そのときどきで彼らが一番いいと思う食材を送ってもらうことにしています。

しかし、食材選びを生産者にまかせることは、お互いの信頼関係があってこそできること。では、どのように素晴らしい生産者と出会っているのでしょうか。

信頼できる仲間のフィルターを通すことで、
素晴らしい出会いが生まれる。

原川:昨年は2ヶ月に1度のペースで食材探しの旅をしていました。新しい場所に行くときは、地域の基点になる人を紹介してもらって回ることが多いですね。北海道では、編集者の岡本仁さんに東川の「LESS」というセレクトショップのオーナー浜辺令さんを紹介してもい、熊本では料理家の細川亜衣さんにおすすめの場所を教えてもらいました。自分と価値観のあう人のフィルターが1枚入ることで、自分がいいと思う人やモノと繋がる確立が高くなるんですよね。そのときに紹介してもらった農家の方とは、いまもお付き合いをしています。あと、季節によって食材が揃わないときは、日本全国のおいしい野菜を揃えている〈ミコト屋〉のチームにお世話になっています。彼らとの出会いは逗子海岸の映画祭。レストラン〈eatrip(イートリップ)〉の野村友里さんや、〈Pignon(ピニョン)〉の吉川倫平さん、料理家の有元くるみさんなどが仕切っている1日限定レストランの企画があって、そこに呼んでもらったんです。そのときに野菜を提供していたのが〈ミコト屋〉でした。彼らは全国の有機野菜の生産者に直接会いに行って、野菜を仕入れています。取引している農家の野菜はおいしいのはもちろん、自然農法にこだわっているので栄養がたくさん含まれている。それが魅力ですね。生産者の方にはそれぞれのやり方があるので、農薬についてのアプローチも多様ですが、僕自身は自然の食材を使いたいんですよね。

価値観のあう仲間との情報交換を大事にすることで、素晴らしい生産者との出会いを生み出していることがわかりました。そんな風に出会いと繋がりを大事にする原川さんだからこそ、「みんなが心地いい空間」を目指しているのではないでしょうか。そしてそのスタイルは、ご自身の仕事着にも現れていました。

人生で一番長い時間を過ごすので、
服と靴は、心地よさを追求する。

原川:作業着だから汚れてもいい、へたってもいいという考え方が嫌いなんですよね。だからコックコートもあまり好きじゃなくって。飲食の仕事をしていると、店にいる時間が人生で一番長くなる。その時間をないがしろにしたくないんですよね。普段と同レベルの心地よさを求めたい。だから、着心地や履き心地が一番大事ですね。今日は襟つきのシャツだけど、ボーダーシャツやTシャツのこともあります。靴は2年前からOTZシューズを愛用しています。とても履き心地がよくて、いまでは3足目。裸足のような気持ちよさとフィット感が好きで、ソールもしっかりしているので疲れない。OTZシューズを知ったきっかけは、編集者の岡本仁さんが履いているのを見てカッコいいと思ったこと。実際に履いてみて「すごい!!」と感じました。その前はヴァンズやクロックス、コンバース、アディダスなどを履いていたんですけど、スリムな靴だと小指が痛くなるし、紐靴だと面倒くさくて。OTZの靴は、全体的にバランスが良いんですよね。あと、もうひとつ好きな靴が久留米の〈ムーンスター〉の「シューズライクポタリー」。これも岡本さんが履いているのを見て知ったんですけどね(笑)。

自分自身が普段の生活で心地よさを追求しているからこそ、お客さんにとっても居心地のいい空間を作れているのだと感じました。そんな原川さんのプライベートの楽しみは、やっぱり食べること。休日には仲間と一緒に気になる店をまわっているそうです。中でも敬愛しているのが、三田の〈Cote D’or(コートドール)〉というレストラン。

原川:シェフの斉須政雄さんが『調理場という戦場』という本を出していて、僕はそれを読んでフレンチの世界に興味を持ったんです。修業時代の話や、料理に対するシンプルな考え方が潔ぎよくて、いつも背筋を正されるんですよね。だから〈Cote D’or〉は僕にとっての聖地。年に1回は行きたい店ですね。

〈BEARD〉の原川さんが大事にしていることは、人が心地いいと感じる環境を作ること。そして同じマインドを持つ人々のことを尊敬しながら、彼らが作っているものをカジュアルに楽しむこと。その姿勢がレストラン〈BEARD〉の空気感に現れているのではないでしょうか。大切な仲間との食事のときなどに、ぜひ訪れてみてください。

(写真:松本昇大、編集・文:堀田けいと、松尾仁)

▽今回着用したリネンシリーズはこちら

柔らかなイタリアンリネンを使用した、エスパドリーユタイプの一足。長時間の立ち仕事でも、コルクのフッドベッド(中敷き)が優しく足の裏をプッシュしてくれる感覚が疲れを感じさせません。

〈INFORMATION〉

BEARD
住所:東京都目黒区 目黒1丁目17−22
電話:03-5496-0567
営業時間:火曜~土曜日 17:30~24:00
日曜日 10:00~14:30
月曜日 定休

原川慎一郎(はらかわ・しんいちろう)

渋谷〈Concombre〉、フランス〈ラ・マドレーヌ〉、奥沢〈ラ・ビュット・ボワゼ〉、三軒茶屋〈uguisu〉などのレストランで経験を積み、2012年に目黒に〈BEARD〉をオープン。また、〈restaurant eatrip〉の野村友里さん、〈Cignale ENOTECA〉の東森俊二さんらとともに、さまざまな土地を訪れ、地域の風土や文化を活かした食イベントを行う「Nomadic Kitchen」にも参画。

EDIT LIFE NEWS

メールサンプル

EDIT LIFE のイベント参加先行予約やおすすめの商品情報を
週に1回程度、メールで配信しています。
購読をご希望の方はこちらから登録をお願いいたします。

お名前

メールアドレス