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  • ご近所にあるノルウェー発のコーヒーショップ「Fuglen Tokyo」で情報交換。
    現在「SPBS」では奥渋谷エリアの散策をサポートする『奥渋谷マップ』を制作中。

  • 鈴木さんは、〈OTZ SHOES〉の中でも革靴とリネンシューズを愛用している。

渋谷の喧噪を抜けた「奥渋谷エリア」にある出版する書店「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(以下、SPBS)」は、独自の視点でセレクトした良書を販売するとともに、ワークショップやトークイベントを通じてお客さんとのコミュニケーションを大事にしている場所です。「みなみちゃん」の愛称で親しまれている鈴木美波さんは、入社3年目で店長代理を任され、書店運営、編集、イベント企画などを総合的に経験し、現在では系列店3店舗のマネージャーを務めるキャリアウーマン。

アメリカ西海岸のシューズブランド〈OTZ SHOES〉とともに、自分らしいライフスタイルを追求する人々にお話を伺う連載「WHOE’S WEAR OTZ SHOES〜ライフスタイルを楽しむ人々」、第5回目は鈴木さんの登場です。

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鈴木美波|合同会社 SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS店舗事業マネージャー
大学在学中から「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」で編集、書店業務に携わり、2012年に店長代理、同年に店長に就任。現在は、「SPBS」、フェアー型セレクトショップ「CHOUCHOU(シュシュ)」のマネージャー。同社の「企画編集力」を強みに、書籍や雑貨のセレクト、フェアーの企画化、自社のZINEレーベル「Made in Shibuya」の編集なども行っている。

入社3年目で責任あるポストに就き、
がむしゃらに頑張る日々が始まった。

鈴木美波さん(以下、鈴木):「SPBS」の店長代理になったのは約4年前。『まだキャリア3年目の私がなんで?』というのが正直な気持ちでした。当時の店長が辞めることになって、書店運営と編集、イベント企画、すべての仕事をやることになりました。当時を振り返るとただがむしゃらにやっていただけで、正直、あんまり憶えてないんですよね(笑)。目の前の仕事をただ必死に取り組んでいました。そんな中で、編集者の岡本仁さんや柴田隆寛さんをはじめ、社外の方とも面白い企画をご一緒させていただくことが増えて、前向きに仕事と向き合えるようになっていきました。会社なので利益の追求は大事ですけど、周りの支えがあってのらりくらりと好きなことを続けられて、気が付いたらいまの自分の居場所ができていました。今思えば、すべてを駆け出しの私に任せてくれた社長に感謝です。

大変な時期に出会った人々が、
いまの自分を支えてくれている。

作家や編集者とともに充実したイベントを行い、ローカルを大事にするマインドから渋谷発のZINEを作り、フェアを開催しながら商品を丁寧に販売する。お客さんに商品を届ける道筋を多角的に展開するのが「SPBS」の魅力です。鈴木さん自身も数々の企画を担当してきましたが、入社当時は右も左もわからなかったのだと振り返ります。

鈴木:まだ学生アルバイトの頃にアシスタントをした企画で思い出深いのは、受講生と一緒に雑誌を作る「編集」のワークショップです。講師のみなさんは著名な方々ばかりなのに、当時の私はそのすごさを分からず、前知識なく打ち合わせに参加してしまっていました。そんな学生でも分かるくらい、みなさんおっしゃることが普遍的で、「こんなにすごい大人がいるんだ!」と、いつも感動していました。雑誌作りは、現場でいろんなアイデアを出しながら進んでいくので、私自身、いつもわくわくしていたのを憶えています。写真家の若木信吾さんに講師として参加いただいた写真ワークショップでは、受講生との密度の濃い関係性も楽しかった点です。毎回同じメンバーが集うので仲良くなって、いまでも交流があるんですよね。卒業生が「あの本を買うなら『SPBS』で」と足を運んでくださったり、「こういう作品を作りました」と持って来てくださって、うちの店で販売したり。自分が仕事で大変な時期に出会った方々が、いまも店を支えてくれています。

イベント、出版、販売を経験することで、
それぞれの立場の気持ちがわかるようになった。

そして鈴木さんが最も心に残っているというのが、民芸の染色の第一人者であり、民芸品のコレクターとしても知られる柚木沙弥郎さんとの企画です。

鈴木:柚木さんのことは、雑誌『HUgE』の記事で初めて知りました。大御所の方なのに、とても謙虚な方だということが伝わってくるインタビューだったんですよね。シンプルな言葉で心に突き刺さる感じが好きで、その生き方に感銘を受けました。当時から「SPBS」はローカルを盛り上げることを大事にしていて、柚木さんが近所にお住まいだということもあって、トークイベントを開催することになりました。イベント後に編集者の岡本さんから、「トークの内容をZINEにしたらいいと思う」と言われて、自社のZINEレーベル「Made in Shibuya」からトークイベントの内容をまとめた本を出版することもできました。それまで私は編集事業にはあまり関わっていなかったのですが、そのときに初めて、企画、イベント、出版、販売の仕事を一連で経験したんです。それから、編集者の構成の意図や思い、書店員としてのお客さまへの届け方など、それぞれの立場の気持ちが具体的にわかるようになってきたような気がします。

1冊しか入荷しない苦労を経験し、
出版流通の仕組みと向き合いながら実績を積んだ。

鈴木さんはイベントやZINEの出版を通して多くを学ぶとともに、書籍の仕入れでは、出版流通の仕組みと闘う日々も経験しました。

鈴木:「SPBS」は小さな新しい本屋なので、話題性のある人気書籍などは希望冊数を仕入れることが難しくて、本当に苦労しました。例えば村上春樹さんの新刊を100冊頼んでおいても、1冊しか本が入荷しない。発売日に届く冊数は販売実績をもとに決まるので、こつこつ実績を積もうと思いながら大型書店でタワーのように積まれている新刊書籍をみて、売りたい本を売りたい冊数で仕入れる事ができて、いいなあと思っていました。いまでは本の流通をしている取次さんとの関係も深まってだいぶ助けていただいていますが、当時はその仕組みに疑問を持ち、腹がたったり落ち込んだりしていましたね。その頃から取次さんを通さない小さな出版社や個人著者との関係もより深めて、フェアなどを企画して、顔が見える方々と一緒に売上を伸ばしていきました。

がむしゃらに頑張っていた毎日を、
OTZの靴が支えてくれた。

「SPBS」は月曜から土曜までは24時まで、日曜は22時まで営業しています。閉店後、夜中の2時、3時まで仕事をして、自転車で家に帰るのが日常だったという鈴木さん。仕事柄、立っている時間や物を運ぶことも多いので、服装は派手すぎず、動きやすい格好を心がけていたそうです。

鈴木:服装は、デニムパンツにTシャツやニットが定番で、ほぼ毎日OTZの革靴を履いていました。いまでも靴選びには気を遣っていて、動きやすくて疲れないのが一番。仕事に集中したいので、靴が合わなくて痛いということを意識したくないんですよね。履いていることすら感じないぐらい、そっと寄り添ってくれる靴が好きです。最初に買ったOTZは黒い革のタイプのもの。履くうちに革の光沢に味が出てくるんですけど、経年変化を楽しむ大人の気持ちがわかった気がして、少し嬉しくもありました。そして忙しい時期に助かったのは、ずっと履いていても蒸れなくて、臭わないこと(笑)。がむしゃらに頑張っていた時代に毎日を支えてくれた靴ですね。最近は、春夏はOTZ、秋冬はDANSKOが私の定番靴です。マネージャー職になったいまでも基本的にファッションは変わりませんが、商談に行くときにはヒールも履くようになりました。といってもやっぱり慣れないので、オフィスに戻るとOTZに履き替えることもあります。

SPBSと、CHOUCHOU。
マネージャーとしての新たな挑戦。

会社としては、現在、「渋谷ヒカリエ」、大阪の「LUCUA 1100」の中にセレクトショップ「CHOUCHOU(シュシュ)」も展開していて、鈴木さんは3店舗のマネージャーを務めています。

鈴木:大阪にも社員がいて、東京、大阪含めて25人ぐらいのアルバイトスタッフと一緒に店を運営しています。アルバイトには学生も多くて、下は19歳ぐらい。必死に頑張っている後輩が多く、自分が知らないことを教えてくれるのでとても刺激的です。4年前は毎日が闘いだったのに、いまでは自分にも部下ができて、今度は育てる側になっている。こんな風になるなんて自分でも全く想像をしていませんでした。

後輩スタッフに求めるのは「やる気」だけ。
情熱さえあれば、その熱がお客様に伝わるはず。

がむしゃらに20代を過ごすことでキャリアアップをしてきた鈴木さん。後輩にはいったい何を求めるのでしょうか。

鈴木:スタッフに求めることは「やる気」だけです。いまできないことがあっても、できるようになりたいと思い続ければ、できるようになると思います。とにかく情熱を失わないことが大事だと信じているので、私はみんなで情熱を持ってのびのび働ける環境をつくっていきたい。それぞれのスタッフに面白いところがあるので、それを武器にしながらみんなで成長していくことが理想です。その面白いところを見つける手助けをしていきたいと思っています。結局火をつけるのは自分自身なので、私にできることはほんの少しなんじゃないかと思うんです。辛いこともありますが、そんなときは、『風邪の効用』という本に書かれていることを思い出すようにしています。悪いことは防げるものではなくて、通り過ぎることで身に付くこともある、と。すべてを受け入れることも大切なことなんでしょうね。「SPBS」や「CHOUCHOU」は個人商店ではないので、組織として魅力的なお店にしていきたいんです。名物店主がいる店も多いですが、うちはひとりが卒業したら新しい人が入ってきて、それぞれの魅力によって長く続くお店になればいいなと思っています。

次々と新しい世代が育ち、
新しい場所が生まれる。

入社3年目という若さで責任あるポストを担うことになった鈴木さんは、とにかくがむしゃらに頑張ることで前に進んできました。その姿勢があったからこそ、「きっと彼女となら面白い企画が実現できる」という信頼に繋がり、その信頼に応えることで結果を生み出してきたのだと感じました。「体力的に辛くて、逃げ出したいと思ったことは何度もありますけど、この仕事を辞めたいと思ったことはないんですよね」と鈴木さんは最後に教えてくれました。そんな彼女のもとから、また素晴らしいスタッフが育ち、多くのお客さまから愛され続ける今後の「SPBS」、「CHOUCHOU」に期待が高まります。


次回は、目黒の人気レストラン「BEARD」の店主、原川慎一郎さんにお話を伺います。どうぞお楽しみに。

(写真:松本昇大、編集・文:堀田けいと、松尾仁)

▽今回着用したリネンシリーズはこちら

柔らかなイタリアンリネンを使用した、エスパドリーユタイプの一足。長時間の立ち仕事でも、コルクのフッドベッド(中敷き)が優しく足の裏をプッシュしてくれる感覚が疲れを感じさせません。鈴木さんも着用しているTmoroカラーは落ち着いた雰囲気なので、プライベートや仕事にも履いていけるカラー一足です。

〈INFORMATION〉

SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS
住所:東京都渋谷区神山町17−3テラス神山1F
電話:03-5465-0588
営業時間:12時00分~0時00分(月~土曜日)12時00分~22時00分(日曜日)
(イベントなどによる変更の場合あり)

〈取材協力〉
Fuglen Tokyo
住所:東京都渋谷区 富ヶ谷1−16−11
電話:03-3481-0884
営業時間:月曜日8時00分~22時00分(月・火曜日)8時00分~1時00分(水・木曜日)
8時00分~2時00分(金曜日)10時00分~2時00分(土曜日)10時00分~0時00分(日曜日)

鈴木美波(すずき・みなみ)

合同会社 SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS店舗事業マネージャー。大学在学中から「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」で編集、書店業務に携わり、2012年に店長代理、同年に店長に就任。現在は、「SPBS」、フェアー型セレクトショップ「CHOUCHOU(シュシュ)」のマネージャー。同社の「企画編集力」を強みに、書籍や雑貨のセレクト、フェアーの企画化、自社のZINEレーベル「Made in Shibuya」の編集なども行っている。

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